賞与から差し引かれるのは、所得税(復興特別所得税を含む)と社会保険料の2種類です。住民税は賞与から天引きされません。所得税の率は賞与の金額ではなく、前月の給与をもとに決まります。
賞与から引かれるもの(令和8年分・令和8年度)
| 項目 | 賞与から引かれるか | 計算の概要 | |---|---|---| | 健康保険料 | 引かれる | 標準賞与額 × 9.85%(東京支部・令和8年度)の半分 | | 介護保険料 | 40歳〜64歳のみ | 標準賞与額 × 1.62%(令和8年度)の半分 | | 子ども・子育て支援金 | 引かれる | 標準賞与額 × 0.23%(令和8年4月分〜)の半分 | | 厚生年金保険料 | 引かれる | 標準賞与額 × 18.300% の半分(本人9.150%) | | 雇用保険料 | 引かれる | 賞与額 × 5/1000(一般の事業・令和8年度) | | 所得税 | 引かれる | 社会保険料等控除後の賞与額 × 算出率の表の率 | | 住民税 | 引かれない | 年税額を6月〜翌年5月の毎月の給与から徴収 |
健康保険料率は都道府県で異なります。上表は協会けんぽ東京支部の令和8年度の値です。
住民税が賞与から引かれない理由
住民税の特別徴収は、前年の所得をもとに決まった年税額を6月から翌年5月までの毎月の給与から徴収する仕組みです(東京都主税局)。年税額を12回に割り振って毎月の給与に載せる方式のため、賞与の支給月に賞与から別枠で差し引かれることはありません。給与明細の控除欄で住民税の行が賞与だけ空欄になるのは、この仕組みによるものです。
所得税の率は前月の給与で決まる
賞与の所得税は、前月の給与から社会保険料等を差し引いた金額と扶養親族等の数を「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」に当てはめ、そこで求めた率を社会保険料等控除後の賞与額に掛けて計算します(国税庁 No.2523)。扶養控除等申告書を提出している人は甲欄、提出していない人は乙欄を使います。
令和8年分の表から、甲欄・扶養親族等0人の部分を抜き出すと次のとおりです。
| 前月の社会保険料等控除後の給与 | 賞与の金額に乗ずべき率 | |---|---| | 82千円未満 | 0.000% | | 82千円以上 94千円未満 | 2.042% | | 94千円以上 260千円未満 | 4.084% | | 260千円以上 309千円未満 | 6.126% | | 309千円以上 342千円未満 | 8.168% | | 342千円以上 372千円未満 | 10.210% |
率は最高で45.945%(3,495千円以上)まで続きます。扶養親族等が1人増えると、同じ率が適用される給与の区分は上にずれます。なお、前月に給与の支払がない場合や、賞与が前月給与(社会保険料等控除後)の10倍を超える場合は、この表ではなく月額表を使って計算します(国税庁 No.2523)。
標準賞与額の切捨てと上限
社会保険料の計算に使うのは、賞与額から1,000円未満の端数を切り捨てた「標準賞与額」です。健康保険・介護保険・子ども・子育て支援金は毎年4月1日から翌年3月31日までの累計573万円、厚生年金は支給1回につき150万円が上限で、これを超えた部分に保険料はかかりません(協会けんぽ、日本年金機構)。雇用保険料だけは標準賞与額ではなく、賞与額そのものに料率を掛けます。
計算例
前提は次のとおりです。令和8年分、賞与60万円、前月の社会保険料等控除後の給与30万円、扶養控除等申告書を提出済(甲欄)で扶養親族等0人、40歳未満(介護保険料なし)、協会けんぽ東京支部、一般の事業。
標準賞与額は60万円です。健康保険料は600,000×4.925%=29,550円、子ども・子育て支援金は600,000×0.115%=690円、厚生年金保険料は600,000×9.150%=54,900円、雇用保険料は600,000×0.5%=3,000円で、社会保険料の合計は88,140円になります。
所得税は、社会保険料等を引いた511,860円に、前月給与30万円(260千円以上309千円未満)の行から求めた6.126%を掛けて31,356円です。手取りは600,000−88,140−31,356=480,504円となります。
この例は概算の考え方です。健康保険料率は加入する保険者と都道府県で変わり、実際の控除額は給与明細、年間の所得税額は源泉徴収票で確認してください。