手取りのものさし

2026年(令和8年分)の税制改正で手取りはどう変わるか

更新日 2026-07-21

令和8年度の税制改正で、所得税の基礎控除が最大104万円に、給与所得控除の最低保障額が65万円から74万円に引き上げられました。改正法の施行は令和8年12月1日ですが、適用されるのは令和8年分の所得税からで、2026年1月から12月までの1年分が改正後の控除額で計算し直されます。ただし毎月の給与から引かれる金額がすぐ変わるわけではなく、令和8年分の差額は12月の年末調整でまとめて精算されます。

変わった点

令和7年分と令和8年分の違いを、給与を受け取る人に関係する項目に絞って並べます。

| 項目 | 令和7年分 | 令和8年分・令和9年分 | |---|---|---| | 基礎控除(合計所得金額132万円以下) | 95万円 | 104万円 | | 基礎控除(132万円超336万円以下) | 88万円 | 104万円 | | 基礎控除(336万円超489万円以下) | 68万円 | 104万円 | | 基礎控除(489万円超655万円以下) | 63万円 | 67万円 | | 基礎控除(655万円超2,350万円以下) | 58万円 | 62万円 | | 給与所得控除の最低保障額 | 65万円 | 74万円 | | 所得税がかかり始める給与収入 | 160万円 | 178万円 | | 扶養親族・同一生計配偶者の所得要件 | 合計所得58万円以下(給与収入123万円以下) | 合計所得62万円以下(給与収入136万円以下) | | 勤労学生控除の所得要件 | 合計所得85万円以下(給与収入150万円以下) | 合計所得89万円以下(給与収入163万円以下) |

出典は国税庁「源泉所得税の改正のあらまし 令和8年4月」です。合計所得金額2,350万円超の基礎控除、給与等の収入金額220万円超の給与所得控除、所得税の税率表(5%から45%の7段階)に改正はありません。

なお基礎控除104万円と給与所得控除74万円は令和8年分・令和9年分の金額です。令和10年分以後は基礎控除が合計所得金額132万円以下で99万円・それ以外は62万円になり、給与所得控除の最低保障額とあわせて2年ごとに物価の変化率を踏まえて見直されます。

所得税がかかり始めるラインが178万円になった理由

給与収入178万円という数字は、2つの控除の足し算です。

給与収入178万円の人は、給与所得控除74万円を引いた給与所得が104万円になります。合計所得金額104万円は489万円以下の区分にあたるため基礎控除は104万円で、そこから104万円を引くと課税所得が0円です。74万円と104万円の合計が、所得税のかからない上限になります。

令和7年分は給与所得控除65万円と基礎控除95万円で160万円、かつての103万円は給与所得控除55万円と基礎控除48万円の合計でした。103万円から160万円、178万円へと2段階で動いたことになります。

この178万円は本人に所得税がかかり始めるラインで、家族の扶養に入れるかどうかの136万円とは別の基準です。住民税がかかり始めるラインも自治体ごとの非課税限度額で決まるため、この178万円とは一致しません。

いつの給与から反映されるか

改正の適用時期と、給与明細に現れる時期は別です。国税庁のQ&A(Q1-1)に沿って時系列で並べます。

| 時期 | 給与の源泉徴収事務 | |---|---| | 令和8年11月まで | 変更なし。改正前の源泉徴収税額表で毎月の税額を計算 | | 令和8年12月1日 | 改正法の施行。扶養親族等の所得要件の改正は、この日以後に支払う給与から適用 | | 令和8年12月の年末調整 | 改正後の基礎控除額と、改正後の「年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」で1年分の税額を計算し、それまでに源泉徴収した額と精算 | | 令和9年1月1日以後に支払う給与 | 改正後の源泉徴収税額表を使用 |

つまり令和8年1月から11月までの給与明細に改正の影響は出ません。1年分の差額は12月の年末調整で調整され、毎月納めすぎになっていた分(過納額)はその人に還付されます。年末調整で還付を受ける人が例年より多くなる仕組みです。

年末調整に使う「年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」の令和8年分は、令和8年8月末頃に「令和8年分年末調整のしかた」へ掲載される予定で、2026年7月21日時点では未公表です(Q&A Q3-1)。

所得要件の改正で新たに扶養親族等の要件を満たすことになった親族について扶養控除等の適用を受けるには、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」等の提出が必要になります(Q&A Q2-1)。公的年金等は、令和8年12月の年金支払時に1年分の精算が行われます。

なお令和9年1月1日以後に生ずる所得からは防衛特別所得税(源泉徴収すべき所得税額の1%)が新設され、同時に復興特別所得税の税率が2.1%から1.1%に引き下げられます。合計税率は2.1%のままで、源泉徴収税額の計算方法に変更は生じないと国税庁が明記しています。

手取りへの影響

控除が増えた分だけ課税所得が小さくなり、その分の所得税が軽くなります。どれだけ軽くなるかは合計所得金額の区分と税率によって変わるため、前提を置いて差分だけを示します。

前提: 給与収入500万円、給与以外の収入なし、特定支出控除・所得金額調整控除の適用なし。

給与収入500万円の給与所得控除は「収入金額×20%+44万円」で144万円、給与所得は356万円です。この帯は220万円超なので給与所得控除に改正の影響はありません。合計所得金額356万円は336万円超489万円以下の区分にあたり、基礎控除は令和7年分が68万円、令和8年分が104万円で差は36万円です。他の控除が同じなら課税所得が36万円小さくなり、所得税の税率が5%の帯にとどまるなら1万8,000円、10%の帯なら3万6,000円が令和7年分と比べた所得税の差になります(復興特別所得税を除く概算。税率の境目をまたぐ場合はこの通りになりません)。給与収入220万円以下では給与所得控除の最低保障額も9万円増えるため、課税所得の減り方はさらに大きくなります。

個人住民税は別です。基礎控除は合計所得金額2,400万円以下で43万円のまま変わらず、給与所得控除の最低保障額74万円が反映されるのは令和9年度分からです(東京都主税局)。社会保険料(健康保険・厚生年金・雇用保険)も所得税の控除額とは別に決まるため、この改正では変わりません。

当サイトの手取り計算機は令和8年分(基礎控除104万円・給与所得控除の最低保障74万円)を基準にしています。ご自身の年収での内訳は手取り計算機で確認できます。

ここに書いた金額は2026年7月21日時点で国税庁・東京都主税局の公表資料を確認した内容に基づく概算の目安です。実際の税額は扶養の状況・各種控除・お住まいの自治体によって変わります。確定した金額は源泉徴収票や住民税の税額決定通知書で確認してください。

よくある質問

Q令和8年度税制改正は2026年のいつから適用されますか。

改正法の施行は令和8年12月1日ですが、適用は令和8年分の所得税からです。つまり2026年1月から12月までの1年分が改正後の控除額で計算されます。ただし令和8年11月までの毎月の源泉徴収事務に変更はなく、令和8年12月の年末調整で1年分を計算し直して精算します(国税庁 令和8年度改正あらまし、Q&A Q1-1)。

Q毎月の給与から引かれる所得税はいつ変わりますか。

令和9年1月1日以後に支払われる給与から、改正後の源泉徴収税額表を使って計算します。令和8年11月までは改正前の税額表のままです。令和8年分については、12月の年末調整で改正後の基礎控除額と改正後の「年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」により1年分の税額を計算し、それまでに源泉徴収した額との差額を精算します。納めすぎになっていた分(過納額)は還付されます(国税庁 Q&A Q1-1・Q3-1)。

Q住民税も同じように変わりますか。

個人住民税の基礎控除は合計所得金額2,400万円以下で43万円のままで、この改正による変更はありません。給与所得控除の最低保障額74万円が個人住民税に反映されるのは令和9年度分からです(東京都主税局)。個人住民税は前年の所得に対して課税されるため、所得税とは反映の時期がずれます。

出典

本ページは制度の情報提供を目的としたもので、個別の税務・保険・投資に関する助言ではありません。実際の取り扱いは所轄の税務署・年金事務所・自治体等でご確認ください。