給与から引かれる社会保険料のうち、健康保険・厚生年金・介護保険は「標準報酬月額」に料率を掛けて計算し、会社と本人が半分ずつ負担します。雇用保険だけは、標準報酬月額ではなく毎月の賃金総額に料率を掛けます。仕組みの中心にあるのが標準報酬月額です。
標準報酬月額とは
標準報酬月額は、被保険者が受け取る給与を一定の幅で区切り、等級にあてはめて決めた額です(日本年金機構)。保険料や将来の年金額の計算に使われます。対象になる報酬には、基本給のほか、役付手当・残業手当・家族手当・住宅手当・通勤手当などの各種手当や、会社が提供する食事・宿舎といった現物給与も含まれます。労務の対償として支給されるものが幅広く対象になる点が特徴です。
等級と決まり方
標準報酬月額は、毎年決め直されます。定時決定では、7月1日時点で使われている事業所で、4月・5月・6月に受けた報酬の総額を月数で割った額を報酬月額とし、それを等級表にあてはめます。決まった標準報酬月額は、その年の9月から翌年8月まで使われます。昇給や降給で報酬が大きく変わった場合は、途中でも随時改定が行われます(日本年金機構)。
厚生年金保険の標準報酬月額は、第1等級の8万8千円から第32等級の65万円までの32等級に区分されています。健康保険は、厚生年金とは別の等級区分を使います。
健康保険・介護保険の料率
健康保険料は、標準報酬月額に健康保険料率を掛けて計算します。協会けんぽの料率は都道府県ごとに異なり、東京支部は令和8年度9.85%です。介護保険料は、40歳から64歳の介護保険第2号被保険者に、令和8年度1.62%(全国一律)が健康保険料率に上乗せされる形でかかります(協会けんぽ)。これらはいずれも会社と本人が折半します。なお令和8年度からは、子ども・子育て支援金率0.23%(全国一律)が医療分の保険料に加わり、2026年4月分(5月納付分)から徴収されます。
厚生年金の料率
厚生年金保険料率は18.300%で、平成29年9月分以降固定されています(日本年金機構)。会社と本人が折半するため、本人が負担するのは標準報酬月額の9.150%です。健康保険と同じく、標準報酬月額を基準に計算します。
雇用保険の料率
雇用保険料は、標準報酬月額ではなく毎月の賃金総額に料率を掛けて計算します。令和8年度(2026年4月1日〜2027年3月31日)の一般の事業では、労働者負担が5/1000、事業主負担が8.5/1000、合計13.5/1000です(厚生労働省)。農林水産・清酒製造の事業や建設の事業は、これより高い料率が設定されています。
労使折半のしくみ
健康保険・介護保険・厚生年金の保険料は、会社と本人が半分ずつ負担します。給与明細に表示されるのは本人負担分で、同じ額を会社も別に納めています。一方、雇用保険は労使折半ではなく、事業主の負担割合が本人より大きく設定されています。同じ「社会保険料」でも、負担の分け方は保険の種類で異なります。
料率はいずれも2026年度(令和8年度)に確認した値で、健康保険料率は都道府県により異なり、毎年改定されます。実際の控除額は給与明細や事業所からの通知で確認してください。